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メンタリストDaiGo氏の事件 [日記・雑感]


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メンタリストDaiGo氏の事件は、インターネット上でたいへんに大きく
騒がれています。


先月に起こったバルセロナのサッカー選手の差別発言を思い出します。
彼らの発言もまた弁護する価値はありませんでした。

Daigo氏の暴言も同様ですが、最近読んだ本との関わりで興味深かったので
取り上げます。

バルセロナの件では、今回のDaiGo氏とは異なる点はいくつもあります。
まず、彼らは元来、街の悪ガキであり、たまたまサッカーが上手であったため
有名になり、お金持ちになった。
そして、その言動が世間の注目を集めるようになった。
しかし、彼ら自身の中身はもともとの悪ガキのままだった。
その頃に属していたコミュニティーだけでずっと暮らしていたなら、先般の
ような事件に発展することもなかった。割と単純です。

DaiGo氏は、彼らとは異なり、社会的にはひとまず「教養ある人々」の一員で
あります。

そんな彼が、こんな発言をした。

「僕は生活保護の人たちに、なんだろう、お金を払うために税金を納めてるん
じゃないからね。生活保護の人に食わせる金があるんだったら猫を救ってほしいと
僕は思うんで。生活保護の人が生きてても僕は別に得しないけどさ、猫は
生きてれば得なんで」

「自分にとって必要のない命は、僕にとって軽いんで。だからホームレスの命は
どうでもいい。」

「どちらかというといない方がよくない、ホームレスって?」
「いない方がよくない?」

「正直。邪魔だしさ、プラスになんないしさ、臭いしさ、
ねぇ。治安悪くなるしさ、いない方がいいじゃん。」

「もともと人間はね、自分たちの群れにそぐわない、社会にそぐわない、
群れ全体の利益にそぐわない人間を処刑して生きてきてるんですよ。
犯罪者を殺すのだって同じですよ。犯罪者が社会の中にいるのは問題だし
みんなに害があるでしょ、だから殺すんですよ。同じですよ」

「個人の感想に間違いもクソもない。謝ることでもない」

「こんな炎上に参加してる人たちに聞きますけど、じゃ、ホームレスとか
生活保護の人たちに寄付しました?たくさん税金払いました?
その人たちに炊き出しとか定期的にやったりとかしてるんですか?
(批判している人より)はるかに税金を払っているので僕の方が助けている」


そして、マスコミでも騒がれ出すと、こんな書き込みです。

DaiGo「あっすごい、毎日新聞にも出てんの?すごいですね!へー…。まぁでも、あのー、僕ねけっこうね、メディアと戦って、訴訟して勝ったりしてるんで、過剰に書いてくれたメディアにはですね、訴訟して、あの、お金を頂きますんで、はい、ごちそうさまですw」

2:12:14~
DaiGo「マスコミも扱ってるんだね、へー…。いいですねなんか、けっこうねー嘘書いてると訴訟で勝てるんですよ。前なんかどこだっけ、アサ芸だったかな?アサ芸+だったかな?(※エンタMEGAです)
週刊紙のネット版に、書かれたことあるんですよ。

僕がYouTubeにたくさん広告を出してるから、DaiGoは今金欠なんだって金欠説みたいなの出されて、それね嘘じゃないですか。なんでかっていうと僕もそうですしみなさんもそうだと思うんですけど、YouTubeの動画って自動で広告は入るんですよ、僕広告入れてないんですね。

なのに自動で入ってるだけなのに、さも僕が金欠だからって根拠がないものを広げて名誉を毀損しようとした、っていう結構弱い論拠なんですよそれって。

それで訴えてみたんですよ裁判で、そしたらね結局なんか裁判所からは名誉毀損の心証っていうのが与えられて、損害賠償で200万くらいもらったんですよ。

弁護士費用とかを考えても全然僕にとって200万ってプラスになってるんで、その新聞社が書いた記事がどういうのかわかりませんけどー。法的に言えるよっていうか、嘘を書いてたりとか、誇張しすぎる表現とか、悪意のある表現があった場合には、全然訴訟してお金がもらえるんで。

これからあのー弁護士とかのチームに連絡して、ちょっとですね、チェックしてみようと思いますw」


引用元:https://swallow.5ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1628820452/



それが一転して、謝罪動画を発表しました。

DaiGo氏がコマーシャルに出演していた「のむシリカ」の運営会社が14日、
同商品の公式サイトでお詫び文をトップに掲載しました。

「この度、弊社製品の広告に出演しているタレントのメンタリストDaiGo氏による不適切な発言があり、関係者をはじめ、多くの皆様に不愉快な思いをさせてしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。」

この会社は昨年からホームレスへの炊き出し支援をやっているそうですね。
そりゃあ、会社としては筋が通りません。

自分のビジネスにたいへんな悪影響が出ると気づいて、方針転換をしたという
ことでしょうね。わかりやすいです。

ジャーナリストの渡邉正裕氏は「これは信者ビジネスの成れの果て、
という分かりやすい例」と指摘しています。
今回、この「信者ビジネス」という言葉を調べて、なるほどと感じました。
収益性の高いこのビジネスモデルも、傲慢になればこうして自分で自分の首を
絞めることになるわけですね。



わたしは、マイケル・サンデル氏の「実力も運のうち 能力主義は正義か?」を
思い出しました。

サンデルさんは冒頭で、米国の名門大学の学生の多くは保護者の所得が上位20%に
当たるということを指摘します。優秀な学生が集まるはずの大学でも、その優秀さは
家庭の経済状況に大きく左右される。
つまり、ある種の「運」が「実力」を規定しているというわけです。

能力が高い者が成果を得るという考えは、裏返すと能力が低い者は得るものが少ない、
もしくは何も得られないが、それでも仕方ないということになります。

「あなたにはその能力が足りなかったのだ。きちんとした教育や訓練が必要なのだ。
それを怠ったあなた自身の問題が根本にある。」

サンデルさんはこう反論します。
「それは、実のところまるで答えになっていない。成功している側が、自ら占めて
いる有利な立場から申し渡す道徳的判決なのだ。知的職業階級は手にした学歴に
よって定義されるため、彼らが大衆に向かって、あなたに必要なのはいっそうの
学校教育なのだと語るたび、『不平等は制度の失敗ではない。あなたの失敗だ』
と言っていることになる。」

名門大学の学生の例にもあるように、現実にある競争は能力を正しく測定する
ものではありません。スタートラインに立った時点で、もともとの勝者が
20mも前にいるような100m走と似ています。この状況では敗者は再び敗者になり、
勝者は勝者を生み出します。

しかし、現実社会ではこれほど露骨には見えませんから、敗者は自分のふがいなさを
責めるしかない。
そして、怒りと屈辱をつのらせていく。

きついですよね、これ・・・・・・・
おまえが能なしだから、今のお前の生活になっているんだ。
他人ばかりでなく、自分自身でも否定しきれないのですものね・・・・・・

さらに、今回の事件でDaigo氏自身の問題とは別に、もう一つの根本的な
問題があります。

生活保護という政策の意味づけです。

サンデルさんは、「無能な人に施しを与えよう」はダメだと言います。

単に分配すればよいというような問題ではない。
根本が能力主義なまま、施しとして社会福祉を行うのは社会的敬意の欠如だと
主張します。

つまり、敗者が怒りと屈辱を募らせていく状況を放置するのは社会的不正義だと
言います。

先ほどのDaigo氏の発言の中に、こんなのがありました。

「こんな炎上に参加してる人たちに聞きますけど、じゃ、ホームレスとか
生活保護の人たちに寄付しました?たくさん税金払いました?
その人たちに炊き出しとか定期的にやったりとかしてるんですか?
(批判している人より)はるかに税金を払っているので僕の方が助けている」

これをサンデルさんは社会的敬意の欠如だと指摘しているわけです。

こんな考えを持っている人間が、「おれはたっぷり税金を払っているのだ」
とドヤ顔する姿は、おぞましいです。
若くして大金を稼ぐようになり、そんな醜さにも鈍感になってしまったのでしょうか。

能力のある人間がよい仕事をして、その結果として感謝されるとともに、
高額な収入を得るのは別に問題ではありません。

しかし、能力の劣る人間に屈辱を与え続け、怒りが蓄積するのを放置するのは
正しくない。
今回、Daigo氏はあまたの人たちに屈辱を与えた。
本人にそこまでの悪意はなかったのでしょうが、たいへんな罪作りです。
多少の「炎上」はむしろプラスとたかをくくっていたのでしょうか。

まとめます。
彼は二つの不用意な発言を行った。
一つ目は、最初の「ホームレス、生活保護」発言で口火を切りました。
二つ目は「おれは税金をたっぷり払っているのだから、十分に貢献している」
発言で、社会的敬意というデリケートな部分を逆なでしました。

しかし、彼は動画配信等でたいへんな収益を上げています。
ビジネスを発展させるたぐいまれな能力は持っていた。
ただ、浅はかな発言でぼろを出す程度の人間であった。

しかし、私はその人を生涯罰し続けるのはどうかと思います。
人は日々成長するからです。批判を浴びたその発言や行為の重大さを知り、
猛省し、自らを律する機会は重要だと考えます。
そして、そのように成長した者を罰し続けることが、終局、どんな意味を
もたらすかも考えておきたいと思います。

そうしたことを考え合わせると、Daigo氏に対しても立ち直るチャンスが
与えられるのがよいと思います。願わくば、日本がそうした社会でありますように!
(彼がたっぷりと稼いでいることは、この際別にしましょう。)

また、生活保護等の社会福祉政策も、屈辱を与える「施し」ではなく、受ける人間の
敬意が損なわれないような工夫が必要ですが、どうすればよいのでしょうね・・・



#ネコも、こんなところで比較の対象にされても、困りますよね。
贔屓の引き倒しです。


#彼のYoutubeチャンネルに書かれている注意書きです。
彼自身が、娯楽であることを明確に表記しています。
すなわち、芸人(芸能人)だと認めているのですから、その点は正直です。
インテリ風の言説をそれっぽく楽しませることを目的にしているという
理解でよいかと思います。

【免責事項】
このチャンネルは、科学の面白さを伝えることを目的としたエンタメです。

なるべく多くの方に、科学的思考に興味を持ってもらうために、参考資料や過去の動画を元に、大胆な独自の考察したもので、事実を確定するものではなく、あくまで一説です。動画の結論は実際の研究とは異なる場合があります。

僕は文献を読むのが好きなタダの理系であり、専門家ではありません。また、多くの科学者とも同じように人間ですから、間違うことも多々あります。実際に知識を利用する際には自己責任、または然るべき専門家に相談してください。また、Amazonリンクはアソシエイトリンクを使用しております。
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