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ドイツ語学校 [旅行]


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今、ウィーン市内のドイツ語学校に通っています。
一番初級クラスです。
コロナの感染防止のために、だだっ広い教室にたった8人です。
おそらく当局から指定された基準を満たすためだろうと思われます。

語学ですから、当然発音を習うために声を出さざるを得ません。
しかし、先生も生徒もみんなマスク装着ですから、音がこもってしまいますので
お互いによく聞き取れません。
しかも、だんだん暑くなる季節です。日本とは異なり、まだ気温は20度にも
ならないので助かっていますが、いずれ暑くもなるでしょう。
あまりよいタイミングではありませんが、思い立ったときが自分の運命だと
思っています。

さて、それはさておき、興味深かったのは生徒の顔ぶれです。

学習には自己紹介もあるので、お互いの出身国がすぐにわかります。
トルコ出身が2人、アルバニア出身が2人、イラン出身が1人、シリア出身が1人、
アメリカ出身が1人、そして日本出身がわたし。

情報をまとめると、次のようになります。
厳密には違うかもしれませんが、トルコ出身を「トルコ人」と短く書きます。


トルコ人
34歳男性(旅行会社勤務)トルコ語と英語
23歳女性(主婦) トルコ語


アルバニア人
34歳男性、27歳女性(インターネット関係の会社勤務)
2人とも、アルバニア語と英語    おそらくカップル

イラン人
33歳男性(不明) ペルシャ語とドイツ語を少し

シリア人
23歳男性(学生) アラビア語

アメリカ人
23歳女性(学生) 英語


シリア人の彼ははっきりとは言っていませんが、どうやら難民らしいです。
内戦が続く故国ではとうてい未来を描けないので、国を捨ててこちらに来たと
思われます。よく勉強していて、授業中も熱心です。

トルコ人はオーストリアには非常にたくさんいます。
トルコ人地区があるくらいで、生粋のオーストリア人が目立たなくなるほどの
存在感があります。ウィーンを離れると少なくなります。やはり、仕事のため
なのでしょうね。

23歳の女性は当地の男性と結婚したが、ドイツ語を話せないと滞在許可証が
入手できないので、そのために学んでいるようです。
旅行会社勤務の男性も、やはり滞在許可証申請が理由だと思われます。
トルコにいるよりも、こちらのほうが所得が高いですからね。

一番興味深いのは、アルバニア人のカップルです。

アルバニアはヨーロッパの中でも、もっとも理解しにくい国の一つです。

アルバニアは1970年代後半から1990年頃まで全ての国と鎖国していたようです。
第二次世界大戦では4日間でイタリアに全土を掌握され、その後独立するも
ユーゴスラビア・ソ連・中国と続いて鎖国しました。
その間他国にアルバニアの情報が入ることはなく、ヨーロッパでも謎の国として
見られていたらしいです。

世界でグローバリゼーションが展開されていたにも関わらず、日本の江戸時代に
戻ったかのような政策を進めていたわけで、その結果としてヨーロッパ最貧国
になってしまいました。
やや北朝鮮とイメージが重なります。

さらに、中国で起こった文化大革命に刺激され、1967年に世界初となる無神国家を
宣言しています。
元々オスマン帝国に支配されていたこともあり、イスラム教信者が多かったのですが、
これを力でねじ伏せて一切の宗教活動を禁止したようです。

個人的には宗教には関心がありませんが、国家レベルで統制するのには
やはり抵抗があります。

さらには、国民のかなりの人たちがネズミ講で大損をしたとかあります・・・・・・



もっと言ってしまうと、アルバニアでは明確なアジア人差別があります。
「キネーゼ」という侮蔑の言葉を通りすがりに投げつけられる例は
よく耳にします。
さすがにヨーロッパの大都市ではこうしたことは少ないですから、
あまり不快な思いをしないで暮らせます。
しかし、大都市や観光地でないところに行きますと、珍しくありません。
彼らはいったい、どんな人たちなのか?

・・・・・・まあ、こんな様々な知識や感情で彼らをどうしても見てしまいました。
ですが、こうやって個人的に知り合うと、実に気持ちのいい人たちです。
きちんと努力を積み重ね、自分たちの生活を築いていこうとする建設的な
姿がよくわかります。

難民と思われる彼、結婚して滞在許可を得たい彼女、旅行会社勤務を
継続したい彼、イランではなくオーストリアで働きたい彼、アルバニアではなく
ドイツ語圏での未来を描いたカップル。

それぞれが切実な事情を抱えて、努力している。
そんな姿、悪くないです。
しかも、努力していると、お互いを素直に認め合える。
教室の中の明るい雰囲気は、きっとそれなんじゃないかな、と思います。
自分のことに集中しているだけですが、真摯な姿は相互理解に自然とつながる。
そして、あたりの空気を温かいものにする。

たまには、世界は美しい、ですね。


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